正月・五月・九月は祈祷月といわれ、各地で「お日待ち」が行われます。
「講中」と呼ばれるグループが、早朝、一件の家に集まり、「大日天王」をお祀りし、講中各家家内安全、五穀豊穣を祈念します。昔は前日から集まり、夜通し寝ずに酒を飲んだり話をしたりして時を過ごし、日の出の時間に合わせてお経をあげていたそうですが、現在は夜と朝だけ集まってお経をあげるというのが多いようです。
御宝前にはお酒、ご飯、お餅等をお供えし、朝のお経の後に集まった皆様に配られます。最近ではお餅の代わりにパンとかお菓子とかをお供えするところも多いようです。このように昔に比べるとかなり簡素化されてきているようですが、隣近所とのコミュニケーション、情報交換としての場としても続けてほしいものですね。

インターネットでを「お日待ち」を検索してみますと300件以上見つかります。どうやら日蓮宗に限らず全国の農村部で行われているようです。


講中・・・数件から多いところでは二十軒を越える世帯からなる村仲間。江戸時代頃にできたといわれ、農作業、慶弔行事等、すべて講中単位で行われていたようです。また、講中では講中ごとにお曼荼羅を持っており、講中の行事ではそれをお祀りします。

大日天王・・・大曼荼羅ご本尊にも勧請されており、日天子(にってんじ)とも呼ばれ、月天子(がってんじ)・明星天子(みょうじょうてんじ)とともに三光天子の一つ。インドでは本来太陽を神格化したバラモン教の神様でしたが、仏教に取り入れられて仏教の守護神となりました。宝光天子ともいい、釈尊が霊鷲山で法華経をお説きになった時にも、聴衆として座に連なっています。


 

お日待ちが終わると「四方札」と呼ばれる四枚のお札を村の東西南北に立てます。農村部に行くと左の写真にあるようなお札が立っているのをよく見かけますね。

四方札・・・北(多聞天)、東(持国天)、西(広目天)、南(増長天)を守護する四枚のお札。