ラジオをお聞きの皆さん、おはようございます。毎日、毎日暑い日が続きますが、今朝も元気にお目覚めでしょうか?今日は岡山市三門にあります妙林寺の長崎一隆がお話をさせていただきます。お盆が始まりましてちょうど中日の十四日、この時間からもお墓参りにがんばって行かれているのではないでしょうか?また、里帰りされてこのラジオをお聞きではないでしょうか?この時期になりますと朝早くから夕方までお墓参りに来られる方が絶えません。お一人で来られる方、家族大勢で来られる方、若い人がカップルで来られる方などなど老若男女問わずお墓参りをされます。まだの方もぜひ、このお盆にお墓へ参り、ご先祖様に今の自分があることに感謝し、またこの世を去られた身近な方を思い出し、偲びながら、お掃除をしてお線香を手向けてはいかがでしょうか?私もお墓掃除に参ったりしますが、なかなかお盆中やお彼岸中にはさすがに参ることができないので、いつも始まる前に参ります。私の母のお墓は大阪の北摂霊園という場所にあります。箕面の野生の猿とにらめっこしながら、有名な滝がある場所を過ぎまして、「勝運祈願」で有名な勝尾寺から車で十分くらい行ったところにあります。山全体が墓地になっており、それぞれの場所に駐車場とバス停があり、一日数便路線バスが千里中央からやってきます。ほんとうに大きな霊園です。さすが大阪です。先日お墓参りに行きました。墓石をきれいに洗い、草を抜き、お花を取り替え、お供えしてお経を揚げていましたら、四つ向こう隣では若いご夫婦と小学校低学年風の男の子と女の子と四人で賑やかにお墓を掃除をしていました。すると向こうから「あの人なんでお経揚げてるん?お坊さん?」すると女性の声で「わからへん。格好ちゃうからただのお経うまい人やわ。」「あんたらだまっとき。」と聞こえてきました。それもそうです私はジーンズ、Tシャツ姿にワゲサと数珠をしてお経揚げていましたから、普通の人から見れば変な風に思ったのでしょう。あの親子の会話が気になってお経どころじゃなかったのですが、そこは私もプロです。気持ちを入れ替えしっかりとお経を揚げ、亡き母の供養をしました。お経が終わってお供えをしたお茶を飲んでお墓の前に座っていると、先ほどのご家族が私の方にやって来て、「こんにちは、暑いですね。あの〜間違っていたらごめんなさいね。もしかしたらお坊さんですか?」と話しかけられました。「はいそうですよ。今日は岡山から、友人のところによって、それから母のお墓参りにきたのでこんな格好なんですよ。」と答えると、「ほら、僕の言ったとおりやん」と男の子が言いました。「何宗ですか?」と聞かれたので「日蓮宗ですよ」と答えると「ああ、わかりますよ南無妙法蓮華経ですよね」と奥さんが答えてくれました。それからいろいろと話をして下さいました。その奥さんは母ひとり子ひとりの家庭に育ち、中学生の頃は悪い仲間とつきあい、時々は警察のお世話になったりでお母さんや周りの人たちに迷惑をかけてきました。それでもお母さんは、叱らず生活のため一生懸命働いていました。もともと身体が弱かったお母さんは体調を崩し入院をしてしまったのです。預かってもらう親戚もなく仕方なしに児童施設で生活をすることになりました。なんとか高校を卒業して無事就職もでき、施設を出ることになり一人暮らしを始めました。悪い仲間とは疎遠となり、良い友達に恵まれました。それから同じ職場でまじめに働き、何でも自分の話に親身になって聞いてくれる男性と出会い、結婚をして二人のお子さんを授かり幸せな家庭を築くことができました。ところが最初のお子さんが生まれたくらいから、ずっと入院をしていたお母さんの容態が悪化して誰とも話しが出来ない状態になってしまいました。それからわずか二日でお亡くなりになったそうです。お母さんの遺品を整理していたら、小さい頃と、悪だった頃の写真、それから自分たち家族の写真が出てきたそうです。特に悪だった頃の写真はクシャクシャになっていました。おそらく悔しかったのでしょう。それを見た時、涙が止まらなかったそうです。奥さんは、「母にもっと親孝行をして喜ばせたかった。苦労をかけた分、楽をさせたかった。今まで迷惑かけたことを全部謝りたかった。それが出来ず心残りです。だから一生懸命働いて貯金をして母のためにお墓を建て、家族みんなで笑顔でお参りをし、その姿を見てもらうことがせめてもの母への恩返しだと思っています。」と話してくれました。「お坊さん、母はわかってくれますか?」と聞かれ、私は「大丈夫ですよ。こうして笑顔でお墓に参ることが何よりの親孝行ですよ」答えると安心して帰って行きました。日蓮聖人はお母様の髪の毛を片時も肌身離さずお持ちになられていました。東京都大田区にあります池上本門寺の日蓮聖人像の右手に持たれています払子がお母様の髪の毛であります。「咲いた花見て喜ぶならば、咲かせた根っこの恩を知れ」。きれいな花を見て私たちは喜ぶが、実はきれいな花を咲かせるためには根っこが頑張っていることも知らなければならないということであります。今の私達があるのは誰のお陰か、今一度よく考えてみようではありませんか。お墓へ参って亡き人のことを思い出して下さい。悲しくなったらお墓の前で泣いて下さい。そこに亡き人はいます。眠っています。姿は見えないけど、仏様のように晴れ渡る空のように大きな心で優しく笑顔であなたのことを見ています。あなたを見えない力で勇気づけ応援しています。毎日暑い日が続きますが、暑さに負けずお元気で良い一日をお過ごし下さい。
最後までお聞き下さいましてありがとうございました。
今朝は、岡山市北区三門妙林寺、長崎一隆がお話をさせていただきました。