おはようございます。今朝は岡山市平井の日蓮宗妙広寺先代、都守健二がお話させていただきます。

「世界連邦日本宗教委員会」
(日蓮宗新聞)4月1日付によると、藤井日蓮宗管長を最高顧問とする世界連邦日本宗教委員会主催の「第26回全国宗教者東京大会」が3月9・10日の二日間、東京大田区池上本門寺で開催され、日本国内の宗教者約300人が参加したということであります。
 「世界連邦日本宗教委員会」というのは、各国が世界連邦政府というひとつの秩序の下で平和と人権を守っていくことを目指す世界連邦運動(これは1974年に発足し本部はニューヨーク国連の中にあります)、これに呼応し、昭和42年に日本国内の超宗派の組織として創立されました。第1回の全国宗教者大会は昭和44年に身延山で開催され、当時の藤井日静法主が「宗教者が宗教の垣根をこえて結集し、人類が生きる為の大道を開かねばならない」という『身延宣言』を全世界に向けて発信しました。現在国内の各地で「世界連邦平和促進宗教者大会」を開催するとともに国際交流に尽力しています。

  「立正安国・お題目結縁運動」
 また(日蓮宗新聞)4月10日付によると、日蓮宗は平成17年4月1日から「立正安国・お題目結縁運動」を開始しました。岩間湛正宗務総長の訓話を要約すると、「今こそ立正安国論奏進750年、日蓮聖人ご降誕800年にふけ、妙法蓮華経に説かれる『生命の絶対尊重』を基本理念とし、「立正安国の実現を目的とする信仰運動の第一歩を踏み出す時です。その基本目標は
1、「お題目こそ成仏の種」
2、「人を育てる。人こそが法の担い手」
3、「心の平和、社会の平和、世界の平和」
4、「現代社会の諸問題への対応」
5、「世界の仏教徒と共に」
各項目の説明もありますが、ここでは煩瑣になるために省略しました。

  「憲法9条を変えることに反対する意見広告運動」
 まず、憲法9条改悪反対の意見広告運動の要旨を憲法を引用しながら説明しましょう。
第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
これが、日本国憲法第9条です。憲法の前文は、過去の侵略戦争と植民地支配を深く反省し、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」して、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」との決意を世界に向かって宣言しています。第9条は、この決意に基づき、日本が武装せず、決して武力を行使しないことを鮮明に規定しています。
ところが日本の現状はどうでしょうか? 米英のイラク攻撃を無条件に支持し、自衛隊をイラクに送り込みました。しかもイラク駐留の自衛隊は今や米軍が指揮する多国籍軍の一員として占領に荷担しています。 
市民意見広告運動は、戦争に反対し憲法第9条の改悪阻止を、5月3日の憲法記念日に全国紙数紙に一斉に掲載しますが、反応や如何にと思います。

「『戦争請負会社』を読んで」
さきの世界連邦宗教者委員会の活動にしても、「立正安国・お題目決起運動」にしても、憲法9条改悪反対意見広告運動の効果にしても、それぞれの立場に立って「平和」を願っているだけではないか、とそのように『戦争請負会社』を読んで感ずるのであります。
著者はP・W・シンガーといって、1997年ブリンストン大学卒業、2001年ハーバード大学で政治学の博士号を取得。現在は米ブルッキングズ研究所国家安全保障問題研究員、同イスラム世界外交政策研究計画責任者を努めているそうです。
本書はアメリカ政治学境界から2003年最優秀政治学図書としてグラヂス・M・カメラー賞が授与されました。
これによると、民営軍事請負企業(PMF)という新しい産業が単に存在するだけでなく、その視野も活動もグローバル化されてきているということであります。全地球的活動状況の地図によると、日本・中国・インド以外はほとんど灰色である。皮肉なことに、近日の国際的シーンで支配的な大国であるにもかかわらず、米国は最も金を払ってPMFを使っている。契約金額は3000億ドルを超えると推定されています。軍事業務の典型的な従業員は、その業務と同じくグローバルな広がりを持ち変化に富んでいて、世界中の国々、アンゴラ、カナダ、イスラエル、ネパール、ウクライナ、米国、英国、ジンバブエからやってくる彼らは、偵察、空挺、兵站管理、地雷除去犬の訓練にいたるあらゆる専門家だ。20年以上の戦闘経験を持つジャングル戦の戦闘員から、管理技能しか持たない「事務屋」もいる。しかし一つだけ全PMF業の従業員に共通するものがある。それはほとんど全員が元兵士であることだ。この業界がさまざまな業種の中でもユニークなのは、前の仕事が現在の仕事に絶対必要なことだ。「元××」という接頭辞、元グリーンベレー、元落下傘兵、元将軍等々が民営軍事請負業の雇用基盤なのである。
戦争が存在する限り、軍事的な専門技術への需要はなくならない。PMFは結果的に伝統的な安全保障の供給源が少しでも緩めば利益を得るだろう。公的な軍事行為者と私的な行為者との歴史が示すのは、民営軍事請負業は今後10年間、国際安全保障において重要な役割を果たすことがますます増え続けるであろうということだ。
ということであります。
要はこの世に戦争が存在する限りPMFはなくならないとすれば、戦争をなくするよりほかにはありません。

「不殺生戒に生きる」
戦争とは国と国の争いで、かつては両国の兵隊同士の争いであったが、大型兵器の時代となって人を選ばなくなった。いずれにしても、戦争は人殺しであります。
釈尊の不殺生に生きることでありましょう。このような立場に立つ限り、「世界連邦平和促進宗教者大会」も、「立正安国・お題目決起運動」も、「憲法改悪意見広告運動」もよかろう。PMFが戦争を利用して生きるならば、その息の根を止める意味において、如何なる平和運動も義とせざるを得ない。『戦争請負会社』を読んだときには、平和運動など意味がないように思ったが、むしろ何よりも大事なことだと思い直しました。
私達戦中・戦後の教育を受けた者は、戦後の明るい平和憲法・民主主義の味が忘れられません。二度と自節を曲げようとは思いません。今は世界連邦が理想であっても、いずれは実現しなければなりません。憲法改悪意見広告運動にも協力しています。
今朝は岡山市平井の日蓮宗妙広寺先住・都守健二の担当でした。ご清聴ありがとうございました。