RSKラジオをお聴きのみなさん、おはようございます。本日は、岡山市にあります、
日蓮宗の太然寺住職、大野玄秀がお話をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
いよいよ、晴れの国おかやま国体が来年に迫ってまいりました。一般の県民の方々も、様々な形で、協力を求められておりますが、自坊太然寺では、民泊に協力いたします。8名程度の選手・監督がお寺に宿泊する予定です。自坊では、昭和37年の前回の国体でも、民泊を行い、徳島県の選手が宿泊し、帰る際にはお礼として阿波踊りを披露してくださったと、母より聞いております。浴衣や、太鼓とかの鳴らし物も持参してきており、踊りにもかなり気合いが入っていたそうです。今回は、どこの県の、どのような選手が宿泊するのか、今から楽しみです。岡山としては43年ぶりの開催、岡山県人として、何らかの形で協力し、岡山国体をもりあげていきたいものですね。
 さて、本日は、9年前に連続して起こった、車に関係する二つの体験談をお話ししましょう。
 一つ目は、夜、仕事の帰りのことでした。原付バイクで、街灯もなくかなり暗い道を帰っていましたところ、対向車が来ましたので左に少し寄ったのですが、なんとそこに車道と歩道を分けるコンクリートの縁石があったのです。
 あっと思った時には手遅れです。時速30k位出ていたでしょうか。スピードを落とす間もなく、「ゴヅっ」という感じでステップ、即ち、バイクの足を載せるところあたりがぶつかりました。その瞬間、バイクはその場にとどまり、体だけが前方方向に、4m位吹っ飛んだのです。
 よく聞く話ですが、事故の瞬間というものは、スローモーションになりますね。水平に頭の方から宙に飛び出し、地面がだんだんと近づいてきます。とっさに判断しました。これなら、1回転できる。即ち、地面に手が着くと同時に、体を丸めたのです。柔道の前方回転受け身ですね。我ながら、完璧な受け身だったのでしょう。アスファルトの上でしたが、大きなダメージもなく、すぐに立ち上がることができました。
 車との接触は無かったのですが、対向車の運転手がすぐに車から降りてきてくれました。
「大丈夫ですか?」事故の状況からして本当に心配そうです。こちらは、完全に独り相撲と思っていましたから、はずかしいやら、かっこわるいやらで、少し肩が痛みましたが、「大丈夫、大丈夫」と平気を装いました。そして、倒れたバイクを起こそうと、バイクの所に行きますと、バイクは悲惨な状態です。ステップが大きくひん曲がり、タイヤもねじ曲がり、押して動かすこともできません。もちろんエンジンもかかりません。改めて衝撃の激しさを思い知らされました。
 結局バイクは廃車となり、後から気が付いたのですが、かぶっていたヘルメットにも大きなキズができており、バイクとヘルメットが身代わりになってくれたようです。無傷で済んだと言うことは本当に奇跡のようでした。
 二つ目は、今、お話ししましたバイクの転倒事故からわずか3日後に起こりました。
 今度は仕事で神戸に行きました。初めての所なので、駅からタクシーに乗りました。運転手にマンションの住所と名前を告げたところ、「たぶん、あそこだろう」と車を走らせ、そのマンションの駐車場の入り口にタクシーを止めてくれました。そして「聞いてきてあげる」と言って、車を離れました。親切な人だなあと、まあそこまでは、よくある話ですが、ここからが、恐怖体験の始まりでした。
 しばらくするとなんとそのタクシーが私を乗せたまま、少しずつバックするではありませんか。エンジンをかけていたのでその振動でパーキングブレーキがゆるんだのでしょうか。シフトも、ニュートラルの位置になっていたのでしょう。坂になっていましたので、じわりじわりとスピードが増し、でもまだ人がゆっくり歩くような速度でしたが、止まる気配がありません。後をみると、後は歩道をはさんで、バスが走るような大通りで、車がひっきりなしに行き来しています。
 「おい、おい、こらえてくれよ」
後からパーキングブレーキを探しましたが、タクシーなので普通の車と違い、どこにあるのか分かりません。また、前に移ってフットブレーキを踏もうと思ってもベンチシートなので、前に移れませんし、外から運転席に回っていこうと思っても、もうそんな余裕はありません。とりあえず、こちらの身の危険を感じ、車を降りました。しかし、車は止まりません。こちらに落ち度はありませんから、放っておいてもいいのですが、大通りまであと少し、大惨事が目に浮かびます。
 もうこうなったら、自分の力を信じるしかありません。後の開いたドアにしがみつき、思いっきり踏ん張りました。他の人が見たらお坊さんが何をしているんだろうと思ったことでしょう。しかし、車というものは重いものですね。スピードは落ちましたが、なかなか止まりません。
 そして、ついに歩道を越え、大通りに入っていきました。あいかわらず、ドアにしがみついていましたが、ここまできたら、もうどうにでもなれといった感じです。夜でしたから、ヘッドライトをつけた車がつっこんでくるのが分かります。もうクラクションの大嵐、間一髪のところで、先頭の車が止まったくれたようです。そして、タクシーは、センターライン付近まで行ったところで、ようやく止まり、大惨事を逃れました。
 そこに運転手がのこのこと帰ってきました。とりあえず、一部始終をお話ししたのですが、なんと一言、「あ、そう」それだけです。
「すいません」「ありがとう」「ご迷惑をお掛けしました」の一言もありません。本当、放っておいたらタクシーは大破、運が悪ければ死者が出てもおかしくない状況です。「ありがとう」の一言で、こちらの孤軍奮闘した努力も、かなり報われるのですが。
 さて、この連続して起きた、バイクの転倒事故と神戸のタクシーでの恐怖体験ですが、9年前、父、先代上人が無くなって3週間、まだ納骨の前のことでした。それまでも、それ以後もこのような体験は一度もありませんから、父があの世への道ずれに引っ張ろうとしたのでしょうか?いやいや、父を含めたご先祖様が、守ってくれたものでしょう。
 皆様方も、このように、思い起こせば、ご先祖様のおかげだなあという体験を少なからずしているのはないでしょうか。
 本日は、7月10日。もう一月もすればお盆ですね。どうか、心のこもった、おもてなしで、ご先祖様をお迎えください。車を運転している皆様、事故にはくれぐれもお気をつけください。
 本日は日蓮宗太然寺住職、大野玄秀がお話をいたしました。
 なお、本日のお話は、インターネットでも見られます。「仏教アワー」で検索してみてください。日蓮宗のお坊さんだけですが、過去のお話も載っています。ご覧ください。
 ではまたの機会がありましたらよろしくお願いいたします。
南無・・・